2025年4月の日本経済新聞朝刊一面記事まとめ

今月の一面記事の傾向はかなり異様な展開を見せました。
前月までの「トランプ関税」をめぐる報道にさらに拍車がかかり、【米国】のカテゴリに入るものだけを数えても一面に取り上げられた回数は実に10回に上りました。
このカテゴリにこそ分類しなかったものの「実質的に」トランプ関税に関わる記事と【何ら関係しない内容】を数えた場合には、4月の一面(特集記事を含めて)29回中9回分だけがこれに該当するという結果となりました。
このように、ある特定の分野に極端に偏った一面記事になるという事態は、あの新型コロナウイルスが世界中を席巻した2020年代のパンデミックの時以来ではないかと感じます。
それほど、トランプ政権の関税政策が世界中に「悪い」影響を与えている(若しくは与えつつある)ということの現れなのでしょう。
また、米政権の政策の方向性が朝令暮改的な展開を見せており、今後の見通しが定まらない事態も悪影響に拍車をかけていると言えるでしょう。
今はまだ、経済的な不安定感に留まってはいますが、このような状況が長引くことによって各国国民の心理的な不安や不満と相まって、主要国の自国閉鎖的な展開がさらに広まってしまうことを契機に「有事」が起きてしまうという最悪の事態も憂慮されます。
先進各国の政治家に、こうした事態を終息できるリーダーが見当たらない状況下ではこのまま世界経済を巻き込んだ混乱は当面続いていくものと覚悟しなければなりません。
一面以外の国内に関連する記事をいくつか確認しておきましょう。
1日の9面には「キャッシュレス比率4割超」のタイトルで、2024年の個人消費に占めるキャッシュレス決済額の比率が4割を超え、政府目標を1年前倒しで達成したと伝えています。この記事に少し関連しそうなものが17日の5面「訪日客1000万人四半期で初」とする記事です。中国人客の回復などの要因で1~3月に四半期として初めて訪日外国人客が1000万人を超えたということです。こうしたインバウンドの増加もキャッシュレス決済比率の上昇要因の一つではないかとも考えられます。
3日の5面では「個人向け国債、購入3割増」というなかで、金利の上昇が個人向け国債の購入増加につながっている状況を伝えています。日銀の国債買い入れの減額による新たな買い手としても期待されているとし、金利が2%くらいの水準になると家庭の預貯金が国債などにシフトするという見方も紹介しています。これに関連するものが8日の5面「政府、インフレで資金余剰」というものでしたが、インフレに依存すれば政府債務の負担が軽減するという構造に関わる政府機関会議のかなりきな臭い内容を含むものでした。
**一面の集計は埼玉県内の配達(基本的に13版)記事を対象にしております。
文責:三星剛