2024年4月の日本経済新聞朝刊一面記事まとめ
今月の一面は、毎週日曜日のすべてが特集記事「チャートは語る」で回るなど、これといって目立った出来事や大きな波乱は見当たらない月だったような感触でした。
新年度を迎えて新たな特集記事もいくつかスタートしました。
1日は「NEO-COMPANY」、12日は「転換期の日米」、22日は「小さくても勝てる」といった感じで、新聞社としても新社会人の読者獲得を意識しているためか比較的分かりやすい内容になっていたと思われます。
ちなみに、昨年4月にスタートした特集記事は「人口と世界」「AI Inpact」の2件でしたが、いずれも現在は継続してないと思われます。
やや印象的だったのが、22日から26日にかけて「EV電池情報 日欧で共有」「三井物産、中東でLNG」「再エネ活用へ蓄電池網」「卸電力 価格安定へ出資」と言った見出しで、個別企業のそれを含むエネルギー関連の記事が連続して登場しました。
明確な要因はわかりませんが、最近の資源価格高騰を原因としたインフレに多くの関心が集まっている状況を踏まえて、様々な価格抑制や安定供給の動きを伝えようとしたことがひとつの要因として挙げることが出来るかもしれません。
月末近くには、衆議院の補欠選挙で自民党が全敗した記事や、円安を巡る日銀総裁の見解や市場介入観測を伝えるものも登場しました。
なかでも、30日の一面「円急騰、160円台から一転」では円相場が160円台に達したのは34年ぶりと報じており、このニュースは2月23日に日経平均株価が史上最高値を更新した際にも34年ぶりと表現していたことともつながり、中身の良し悪しはともかく、往年のバブル経済到来を匂わせるような印象を広めているように感じます。
一面以外の注目記事は、9日3面の「倒産増 平時へ新陳代謝」という見出しの記事が挙げられます。「新陳代謝」という表現はネガティブな印象というよりも、いわゆるゾンビ企業の市場からの退出を促すという世相を表していると受け止めるべきでしょう。
関連して11日の5面では「実質賃金「今夏にプラス」」として、今年7~9月期には名目賃金が物価上昇を上回る、いわゆる実質賃金のプラス転換がおよそ一年ぶりに実現するだろうとシンクタンクが分析したという見通しを伝えています。
こうした経済環境が成立した暁には、とりわけ賃上げの実現に伴う収益環境の改善が不充分な中小企業においては全体的な人手不足の状況と相まって「新陳代謝」の対象となり得ることになり、「新陳代謝後の環境」を整備することが急がれることになりましょう。
**一面の集計は埼玉県内の配達(基本的に13版)記事を対象にしております。
文責:三星剛