最近読んだ本について
こんにちは。税理士法人PLUS-ONEの大川です。
電車内の学習塾が出している広告で、某中学校の入試問題が掲載されていました。設問は、「最近では幸せというものを“happiness”ではなく“wellbeing”と捉える機会が増えている」という趣旨のものです。この二つの言葉の違いは、happinessが感情的で一瞬しか続かない「スパンの短い幸せ」、wellbeingが身体的、精神的、社会的に良好な状態で「持続する幸せ」ということを意味しますが、こんな難しいことまで問題になってしまうのかと驚いてしまいました。
その流れで、紹介する本はこちらです。
『幸福論』 アラン著

世界三大幸福論というものがあって、今回紹介するアラン氏の他、バートランド・ラッセル氏とカール・ヒルティ氏も幸福論という著書があります。日本ではアラン氏の『幸福論』が一般的には読まれているそうです。アラン著の『幸福論』は、1900年代前半にフランスの新聞で連載されたものを編纂し1925年に発行されました。今からちょうど100年となりますが、内容が全く時代遅れとは感じません。
①幸福は「意志」と「行動」で作り出す
自然に任せると不幸になる。アランは、人間は生まれつき、何もしなければ悲観的な気分や情念に支配され、不幸になる傾向を持っていると考えます。だからこそ、幸福になるためには、「幸福になるぞ」という強い意志を持ち、意識的に行動する努力が必要だと説いています。幸福は外的な環境や運命ではなく、自分の心と体の使い方で決まります。
②感情をコントロールする
不幸の原因は感情である。不安、恐怖、絶望といったネガティブな感情に囚われすぎることが不幸の主な原因です。感情は行動に影響を受けます。気分が落ち込んでいる時こそ、まず行動を起こすこと(例えば、運動をする、笑顔を作る)で、感情を良い方向にコントロールできると強調します。「笑うから幸せなのだ」という言葉がこの思想を象徴しています。
③楽観主義を貫く
悲観主義は気分、楽観主義は意志。悲観的になるのは簡単で、それは単なる気分の問題である。しかし、楽観主義は訓練によって獲得できる強い意志の力であり、幸福への近道であると説いています。
④日常の小さな喜びに目を向ける
特別な出来事ではなく、日々の何気ない生活の中にこそ幸福を見出すことができます。困難を避けるのではなく、それを乗り越える過程での自己の成長や、他者との関わり、社会への貢献が、結果として幸福につながると主張しています。
アランは最終的に、「幸福になることは義務である」と断言します。幸福とは権利(幸せになれる権利)みたいに思われがちですが、自ら幸福であろうと努めることが、周囲の人々や社会全体を良くすることにつながる「徳」である、という考えに基づいています。
【読書にあたって】
全317ページ。93のテーマに分かれているので、ちょっとした隙間時間で読むことができます。
「新年おめでとう」というテーマ(80番目)があり、「一日の初め、年の初めをよくしたまえ」というフレーズがあります。2025年という一年が良かった人も、悪かった人も2026年を良いものとするために、『幸福論』をご一読されてはいかがでしょうか。


