2025年8月の日本経済新聞朝刊一面記事まとめ

今月の一面で最も多くの回数を数えたカテゴリは、僅差でしたが「エネルギー環境」を抑えた【米国】の5回でした。
2日の「力の貿易支配に世界対峙」というタイトルに始まり、7日から実施された米関税に関わるニュースがその中心となりました。
一面最多となったのは5月以来の通算4回目を数え、8月までの累計でも35回とダントツの回数を重ねていますので、9月以降に新たな大規模紛争やパンデミック、あるいは日本国内での大規模災害でも起きない限り年間の一位は恐らく動かないだろうと推測されます。
一面以外で気になる記事をいくつか確認しておきましょう。
日付順にまず国内から、2日の5面は『「106万円の壁」到達増加か』というテーマを掲げ、日銀が公表した地域経済報告(さくらリポート)で、最低賃金の引き上げが年収の壁を意識するパート労働者の就業時間調整をさらに強めているという内容を伝えました。
これに伴い年金制度改革法は成立したもののその実施時期が決まっていないことから、働き控えを生む最も大きな理由であるとされているこの問題を解決する必要があると報じています。
9日の5面は「デジタル赤字高止まり」と題して、6月までの累計サービス収支が約3兆円の赤字であると伝えました。サービス収支の黒字要素はいわゆるインバウンド消費であるのに対して、海外の巨大テック企業に対する対価の支払いが膨らんでおり、この黒字要素を打ち消している現状を報じると同時に、この傾向は企業のDXが進んでいる表れでもあることや、トランプ政権との交渉過程において米国側の「デジタル黒字」を問題とする材料にもなる有利性も指摘しています。
28日の5面は「国税の滞納1兆円規模」という見出しで、国税庁の公表資料を前提に国税の滞納額が21年ぶりの高水準であることと、最も大きな額は消費税であるとしています。
推計によると、滞納者の属性の多くは中小企業ではないかとしたうえで、企業のインフレ等コストが増加している背景を挙げています。その一方で、30日の3面は「滞る経済 膨らむ予算」のなかで、各省庁の概算要求が過去最大の122兆円超にも到達したと伝えました。
国内景気の不透明感にもかかわらずこのような状況を生み出している背景として記事では「国債の利払い費」「高齢化に伴う社会保障費」など「削減が難しい」支出が要因になっていると分析しています。
国外では、15日の3面「米経済、3%高成長に幕」、23日の4面「中国消費にデフレの波」など主要国の経済不振をそれぞれ報じており、国内外ともに厳しい経済環境が今後しばらくは続きそうな気配が濃厚になっていると推測されます。
**一面の集計は埼玉県内の配達(基本的に13版)記事を対象にしております。
文責:三星剛