2024年11月の日本経済新聞朝刊一面記事まとめ
今月の一面は、当初の予想どおり5日に開始した米大統領選挙を巡る報道が多数を占めました。さらに米国に関連する記事として22日の「米、グーグル分割要求」なども含めると米国のカテゴリに分類される一面記事の回数は実に9回を数え、10月の国内政治に関連するカテゴリの11回に次ぐカウント数に上りました。
他国に対する関税引き上げなど、まだ実施されていない政策の多くが経済に大きな影響を及ぼすと考えられることから、今後しばらくは米国(トランプ氏)を巡る一面記事は多くの回数を数えることが想像されます。
17日の「チャートは語る」は「エンゲル係数 日本圧迫」と題し、エンゲル係数(消費支出に占める食費の割合)が日本で急伸し、G7中首位になっていると報じているテーマに関心を引きました。
食文化の違いなどにより他国との比較は一概にできないとしながらも、他国に比べエンゲル係数の上昇が急ピッチであることに着目し、その主な要因として「可処分所得の伸び率低迷」「物価高」「女性の社会進出加速」などの複合的な要因を挙げています。
記事に目を通す前は、食事の値上がりに影響を受けた要因ぐらいしか思いつきませんでしたが「エンゲル係数の急伸は食にとどまらず、働き方を含めた日本人のライフスタイルのあり方を問いかけている」と記事は結んでおり、エンゲル係数という伝統的な指標に改めて着目し多角的に分析した記事は興味深いものがあると感じました。
一面以外の記事で注目したいのは、1日の3面「賃金・物価「見通し通り」」と題する植田日銀総裁の前日の記者会見を受けたもので、日銀が目指す賃金と物価の好循環が実現するかは(国内外の政治情勢や為替相場の不安定感から)なお不透明であると解説しています。
異次元緩和の正常化も目指す日銀がどのタイミングで追加利上げに踏み切るのか引き続き注視が必要です。また、単なる偶然ではありますが今月初めと終わりの一面はいずれも植田日銀総裁に関わる記事でした。今後も異次元緩和の修正に動く日銀の政策が一面を飾ることも多くなるでしょう。
29日の一面では「日経エコノミクスパネル」と題する新たな特集分野が設けられました。
記事では「経済の見通しや政策への賛否について経済学者の意見分布を示す試み」と紹介されておりましたが、日経新聞社としては長期的かつ定期的にこの特集を構成することで、主に経済政策分野に対する是非を論じることを通じて経済誌としての発言力を高めようとする思惑があるのではないかと感じました。今後の展開に注目です。
**一面の集計は埼玉県内の配達(基本的に13版)記事を対象にしております。
文責:三星剛