年末調整②(令和3年)
ブログをはじめて、今回が10回目のアップです。
これからも皆様にとってお役に立てる情報をお伝えできればと考えております。
今回も、前回に引き続き年末調整についてです。
☆年末調整時に配布される用紙(その1)
右上に〇扶と書かれている用紙についてです。
正式名称は、扶養控除等(異動)申告書といいます。
その名のとおり、「扶養親族を申告する用紙」ですが、“等”がついているので注意です。
“等”には、給与所得者本人が、①寡婦に該当すること②ひとり親に該当すること③勤労学生に該当すること、さらに給与所得者本人またはその扶養親族が④障害者に該当することが含まれます。 これらを記載することにより、各種控除を受けることができますので、記載漏れがないようにしましょう。とはいいつつ、ナイーブな内容を含むので、会社に提出したくないと考える人もいらっしゃるような気がします。
この用紙に記載される扶養親族であること、障害者であることについては、年末調整を行う日の現況により判定いたします。例外として、給与所得者本人や扶養親族が年の中途で死亡したり、給与所得者本人が年の中途で出国し非居住者となったりした場合については、その死亡または出国の日の現況により判定いたします。
16歳未満の扶養親族は扶養控除が受けられないため、記載されない方もいらっしゃいますが、住民税で16歳未満の扶養親族についても計算の根拠とする場面があり、そのためこの用紙は地方税に関する扶養控除等(異動)申告書も兼ねております。
用紙左上の税務署長欄の下に市区町村長欄があるのはそのためです。
なお、この用紙は所轄税務署長等に提出することになりますが、実際に提出すると税務署がパンクしてしまいますので、給与の支払者に受理された日に、税務署長等への提出がされたものとみなす規定となっております。(所得税法第198条1項)
この用紙ですが、本年最初の給与の支払いを受ける時までに給与の支払者に提出することになっております。つまり、令和3年の年末調整で使用する書類ではなく、令和4年1月以降の給料から源泉する所得税を計算するために必要な書類といえます。なので、皆様に配布されている用紙も、「令和4年分」となっているはずです。
しかし実務上は「令和4年分」の申告書に記載されている内容が、年末調整を行う日の現況に近いので、この用紙の情報を元に年末調整を行っております。決して出さなくてもいい書類ではありません。(つづく)