ブログ更新【2023年9月の日本経済新聞朝刊一面記事まとめ】
今月の一面の特徴は、毎週日曜日の定番特集「チャートは語る」が4日間すべての日曜日に掲載されたことで、これは3月・6月に次いで今年3回目の月でした。
このような月の傾向として一つ考えられることは「特に大きなニュースがなかった」ことが背景にあると言えます。日曜日にこの定番特集が組まれなかった月は、例えば事件や事故或いは大きな海外からのニュースなどが飛び込んできたときにそのペースが乱れることがままあるからです。
そういう意味では比較的波風の小さかった月と言ってもいいかもしれません。
また、今年は関東大震災から100年の節目ということで、1日の一面は「拠点病院、災害で機能不全」というタイトルで、首都直下地震が発生した場合1都3県の災害拠点病院の6割で通常診療が確保できないとする日経新聞社の調査結果を伝えています。
今年に関して言えば、いまのところ一面に取り上げられるほどの大規模な風水害等の発生は見られないため「目に見えるような危機」は発生していないのかもしれません。
その一方で私たちの身の回りで「目に見え始めた危機」としてジワリと広がってきたのは物価高でしょう。米国FRB(連邦準備制度理事会)は下がらない消費者物価について「粘着性が高い」と表現しましたが、我が国の消費者物価もそれに類似する性質を持っている可能性を警戒する必要がありそうです。
15日の5面に「企業の稼ぎ家計に届かず」という見出しを付けて、国内総生産(GDP)に加えて海外からの純受取額が増加したため4~6月期の国民総所得(GNI)が、過去最高の625兆円を観測したものの家計への還元が十分にされていないという分析を行っています。
この記事によると、家計への還元ルートは「賃金の上昇」と「貯蓄から投資へシフトすること」の二つが考えられるとしていますが、前者のタイミングは来年の春闘時期が一つのポイントであるとされ、後者についても家計の将来不安が払しょくされにくい現状のままでは理屈ばかりが先行し実現は難しいようにも思われます。
足元のインフレ率は3%台で推移していながら賃金の上昇率はこれに追いついてません。
27日の8面記事には「「動かぬ物価指標」1.8%上昇」というタイトルで日銀が公表する物価上昇率について詳しく分析を行っています。それによると「刈り込み平均値」「加重中央値」「最頻値」と呼ばれる3つの指標のうち長年ゼロ%近辺で推移してきた「加重中央値」が8月は2%近くまで上昇したと伝えています。この値の上昇は、様々な品目について万遍なく上昇基調に向かっていることを示しています。これまでの日銀は市場がデフレ基調から脱却しきれたとは見ていないようでしたが、これらの指標が高止まりを続けた場合、何らかの政策変更に踏み切る可能性も今後は出てくるかもしれません。
**一面の集計は埼玉県内の配達(基本的に13版)記事を対象にしております。
文責:三星剛