2024年9月の日本経済新聞朝刊一面記事まとめ
今月は自民党の総裁選を巡る項目が多くの一面記事を飾りました。
13日の「総裁選、成長の持続力競う」に始まり、
15日には「経済強く」「改革断行」の見出しを掲げるなど、史上最多9人の候補者が乱立する状況に加えて、各候補者の政策などを伝えながら選挙終了後には
28日「自民総裁に石破氏」29日「自民幹事長に森山氏」30日「10月27日投開票軸に」と
3日続けて石破新総裁の周辺記事が続きました。
しかしながら、ある意味予想外の選挙結果に対する市場の反応は冷ややかで、一時的な円高に伴う株安を生み出す結果として表れました。
また、既に解散総選挙の方針も示されていることから、今後の株式市場を中心とした景況感については政治的な不確定要素が波乱を呼び込む状況がしばらくは続くことが予想されるでしょう。
それ以外の一面記事としては、同じく選挙を控える米国を巡るものが3回に上りました。
その中でも、19日の「日鉄、買収計画を再申請」のニュースでは、日本製鉄が米USスチールを買収する計画について大統領選後に再申請を認める方針であることが伝えられました。記事によると買収の承認には経済安保上の2つの懸念(米国側の鉄鋼生産能力の縮小と関税を巡る保護主義的政策の障害)を払拭する必要があるとされ、11月5日の大統領選後の行方が注目されます。
一面以外の注目記事として中小企業の景況感に関わる厳しい状況をいくつか。
7日の5面「賃上げ「追い込まれ」色濃く」と題する記事では、厚生労働省が2024年の労働経済の分析を行った結果、賃金の引き上げをもたらす効果が人手不足のそれによる原因が大きく、生産性改善を原因とする米国と比べ日本企業ではやむなく賃上げに追い込まれているという状況を伝えています。
10日の7面では「倒産20カ月ぶりマイナス」と題して、8月の企業倒産件数が29カ月ぶりに前年を下回ったと報じ、その要因として建設業や運輸業などで価格転嫁が進んだことが下支えにつながったと分析しています。しかし、同じ記事の中で年末に向けて金利上昇に伴う負担が再び倒産の増加に転ずる可能性にも言及しており、見出しと記事内容には大きな乖離が見られます。
19日の5面では「稼ぐ大企業 中小は足踏み」という見出しを通じて、大企業と中小企業の収益力の差が開いている分析結果を伝えました。
**一面の集計は埼玉県内の配達(基本的に13版)記事を対象にしております。
文責:三星剛