奇妙な税金(印紙税)
印紙税というのは、奇妙な税金だと感じます。
印紙税は各種契約書その他の文書の作成を対象として課される租税です。その課税根拠は、それらの文書が各種の経済取引の表現であり、したがって担税力の間接的表現であること。(「租税法」金子宏氏著)
確かに契約書や領収書は、経済取引が行われる(又は行われた)ことを表現する文書であることには間違いありませんが、そこに担税力があるかと言われると疑問に思うことはあります。
例えば70,000円で仕入れたパソコンが陳腐化し、60,000円でしか売ることができなかったとすると、経済取引は10,000円の赤字です。ですが、60,000円の売上領収書には印紙を貼らないといけません。ここに担税力があるのでしょうか。
また、私が会計事務所業界に入って間もない頃の話です。
お客様のところへ行って帳簿確認をしている時に思った疑問ですが、
「なんで550万円を手形で支払うのに、300万円と250万円の手形に分けているのか」
この理由について、文句の一つも言わずに丁寧に教えてくれた社長には、今でも感謝の念しかありません。
550万円の手形に貼る印紙は2,000円、300万円と250万円の手形に貼る印紙はそれぞれ600円ずつ。2枚に分けることで800円の節税が出来てしまいます。
こんな節税もあります。
領収書を発行する際、例えば54,780円の商品を販売し、領収書に「54,780円」という税込売上代金のみを表示した場合は、200円の印紙を貼らないといけませんが、「54,780円(内消費税額等4,980円)」と記載すれば、税抜金額の49,800円で判定しますので、5万円未満の領収書ということになり、印紙は不要となります。
ということを書いてきました印紙税ですが、
税理士法第2条にはこのようなことが規定されています。
税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第十条の四第二項に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
印紙税は税理士業務の対象外!
このあたりは改正要望を出していいのかもしれません。