個人住民税(その1)
皆さんは、6月に支給された給料明細の中に入っている住民税通知書を確認しましたか?
今年も高いなぁと憂鬱になった人、ふるさと納税が反映されてホクホクした人、読まずにポイしてしまった人と人それぞれでしょうか。
正直、私も税理士でなかったらポイしている人になっていたかと思います。どうせ中身見ても分からないと思いますし。
そんな方のために、少しかみ砕いて説明できたらいいなと思います。
1.住民税って何?
ところで、個人住民税って何でしょうか。
広辞苑では住民税について以下のように記載されています。
地方公共団体が課する普通税(※1)の一種。
道府県民税(および都民税)と市町村民税(及び特別区民税)との総称。
住所を有する個人には均等割と所得割との合算額 ~以下中略~ を課する。
均等割とは所得に関係なく一律徴収されるもので道府県民税と市町村民税合わせて5000円から6000円の自治体が多いようです。
所得割とは所得に税率をかけて徴収されるもので道府県民税と市町村民税合わせて10%という自治体が多いようです
(※1)普通税
税収の用途を特定せず、一般経費にあてるために賦課徴収する租税。目的税と対比される概念である。
よく聞かれる質問として、
「住民税と市民税って違うのですか?」
というものですが、市民税と住民税の総称を住民税というだけで結論は一緒です。
少し難しい観点で考えると、
「なぜ均等割と所得割に分ける必要があるのか!」という疑問が浮かびます。
これについては、均等割は課税を広い範囲の人に求めるため、所得割は課税をその所得金額の多少に応じて求めるために分ける必要があるのだと思います。何事もバランスが大事ということでしょうか。
2.納付先はどこ?
自治体という言葉が出てきたので納付先の話をします。 個人住民税は「1月1日時点の居住地」が納付先となります。そのため、令和3年1月2日に引っ越しをして住民票を異動させたとしても、令和3年6月に届く住民税は引っ越し前の居住地の自治体から届きます。転入先の自治体からすれば住民税を払ってもらっていないのに住民サービスを提供することになりますが、これはどこかで線を引かなければならない問題ですし、逆に転出する場合もあるでしょうから、そのあたりはお互い様ということなのでしょう。
3.どのように決定される?
「確定申告もしていないのに、なんで自治体は給与の金額を把握しているのだろう」
というのが、大学生でバイトをしていた頃に思った疑問です。
自治体が給与の金額を把握するルートとして2種類あります。
①確定申告をせず、年末調整で完結する人
給与支払者から提出される給与支払報告書により、市区町村にその課税資料が送付されます。
②確定申告をする人
所得税の確定申告書を提出した場合、税務署から市区町村にその課税資料が送付されます。
余計なことするな!って思ってしまうかもしれませんが、この制度がなかったら、納税者は所得税とは別に住民税の確定申告書もしなければなりません。
4.非課税
個人住民税においては、一定の条件にあてはまる者に対して、住民税を課さないという制度が設けられています。
①均等割と所得割が非課税とされる者
②均等割のみが非課税とされる者
③所得割のみが非課税
②と③に関しては、一定の所得金額以下の者として括れます。
①均等割と所得割が非課税とされる者については、
・生活保護法の規定による生活扶助を受けている者
・その年の1月1日現在において障害者、未成年者、寡婦、ひとり親のいずれかに該当し、前年の合計所得金額が135万円以下の者(給与収入のみの人は2,044,000円以下)
例えば、高校を卒業して4月からアルバイトをすることになり、その年の年間給与が200万円だったとすると、所得税はかかるけど住民税は未成年者によりかからないなんてことは考えられます。
~以下、個人住民税(その2)に続く