1. HOME
  2. ブログ
  3. 事務所内ブログ
  4. 【PLUS-ONEブログ】日経新聞一面10月まとめ

BLOG

ブログ

事務所内ブログ

【PLUS-ONEブログ】日経新聞一面10月まとめ

 今月の一面記事の分類のうち最も多かったのは「防衛・紛争」に関する記事で、5月の11件に続く5件でした。なかでも30日の朝刊では「自衛隊に『統合司令部』」と題し、2024年をめざす自衛隊内部の組織編成に触れるという、経済新聞の記事としては異質の報道内容に目を引かれました。同じ分類の記事はこれまでの年間累計で58件を数え、連載の特集記事を除くトップ件数を独走しています。
 日経新聞紙上で「防衛・紛争」が一面を数多く飾るような世相は近年には見られなかった傾向といえるでしょうし、この先もこうした状況が続いてしまいそうな現状が憂慮されます。

 「為替」に関する記事は14日と、その一週間後の21日にそれぞれ取り上げられましたが、
14日のタイトルは「円、147円台後半 32年ぶり」21日のそれは「円150円台、32年ぶり」と、まったく同様の見出しが続くという珍しい現象が起きました。
大事な一面の編集作業でもこの辺りはあまり気にしないものなのかな?と素朴な疑問を持ちましたが、いずれにしても円安・物価高の傾向はしばらくの間止みそうにありません。

 1日の紙面には9月30日に財務省が発表した為替介入実績について触れており、8月30日~9月28日の介入実績は2兆8382億円、その後の9月29日~10月27日の実績については6兆3499億円であることが判明しましたが、いずれも介入効果は限定的であり、その理由として日銀の金融緩和が継続していることや、介入に必要な政府の外貨準備高が不足していることなどを挙げています。このまま、円安・物価高の状況が続くとますます消費が減退し、いわゆるスタグフレーション(物価が上昇したまま景気の悪化が続くこと)に陥ってしまう最悪シナリオも懸念されます。

 最後に、今月気になった一面は29日の政府の物価高に対する経済対策を報じる内容で「額ありきに危うさ」という小さな見出しがありました。
思い返してみると、今年7月凶弾に倒れた安倍元首相が2013年にスタートしたいわゆるアベノミクス3本の矢に話しは遡ります。「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」に関しては雇用の改善や株高など一定の効果を認める声もありましたが、「民間投資を喚起する成長戦略」は時間が経っても芳しい成果は見られませんでした。
私見ですが、前の二つは「おカネ」に関する項目なので権限を持った人が指示すればある程度の効果はすぐに表れるでしょう。しかし後者のような「ヒト」が大きくかかわる政策は一朝一夕には進みません。近年の経済政策を取り巻く風潮は「短期的な成果」を求めることに傾斜しすぎた嫌いが強く、じっくり腰を据えて取り組む余裕のなさが悪循環を生んでいるように感じます。予算を組んでおカネをバラまくだけの政策では何の成果も生まない状況にあることをもっと認識すべきだと、前述の見出しは訴えているように読めます。

**一面の集計は埼玉県内の配達(基本的に13版)記事を対象にしております。
文責:三星剛

関連記事